二十八宿と五宮の概論
二十八宿体系:
- 紫: 紫微垣(中央)
- 北: 北斗七星(帝の車)
- 青龍(東): 緑の七宿
- 白虎(西): 白の七宿
- 朱雀(南): 赤の七宿
- 玄武(北): 青の七宿
| 宮位 | 五行 / 神獣 | 所属する星宿 |
|---|---|---|
| 中宮 | 土 / 紫宮 | 紫微垣、北斗七星 |
| 東宮 | 木 / 青龍 | 角、亢、氐、房、心、尾、箕 |
| 南宮 | 火 / 朱雀 | 井、鬼、柳、星、張、翼、軫 |
| 西宮 | 金 / 白虎 | 奎、婁、胃、昴、畢、觜、参 |
| 北宮 | 水 / 玄武 | 斗、牛、女、虚、危、室、壁 |
4500年前の人々は「黄道=赤道」と考えていたため、紫微垣を中心として赤道沿いに二十八宿を配置しました。その後「歳差」が発見され、唐代の『歩天歌』で「三垣」体系が正式に確立されました。
前漢の司馬遷の『史記・天官書』には三垣はまだ言及されておらず、代わりに五宮(中宮紫宮、東宮蒼龍、南宮朱鳥、西宮咸池、北宮玄武)に分けられていました。
中宮:紫宮
前列直斗口三星... 若見若不,曰陰德紅5...
紫宮左三星曰天槍,右五星曰天棓紅4...
北斗七星:帝の車
斗魁戴匡六星曰文昌宮紅2... 在斗魁中,貴人之牢紅1...
杓端有兩星:一內為矛,招搖紅3;一外為盾,天鋒。
解析: 『史記』は紀元前100年頃に書かれ、1247年の蘇州石刻とは1300年以上の差があるため、星図と記述に違いがあるのは理にかなっています。
東宮:蒼龍
蒼龍の心臓。中央の最も明るい星は「大火星」(アンタレス)で、商代の人々が祭った主星です。杜甫の詩に登場する「商」はこの星を指します。
龍の腹部。黄道がここを通ります。
アークトゥルスはかつて角宿の一部でした。角宿は日・月・五星が必ず通る黄道の門であるため、天門と呼ばれます。
亢: 青1 病気を司る。
氐: 青3 疫病を司る。
尾: 青4 君臣関係を司る。
箕: 青5 口舌の争いを司る。
南宮:朱鳥
天上の行政センター。五星が逆行して侵入すると、臣下の謀反の兆しと見なされました。
女主(皇后/皇太后)の権力を象徴します。
天の川が流れる場所で、水利を司ります。
朱鳥の目で、祭祀を司ります。
柳: 赤6 鳥のくちばし。 星: 赤7 喉舌、急事を司る。 張: 赤8 翼を広げる、客を司る。 翼: 赤9 羽翼、遠客を司る。 軫: 赤a 車、風を司る。
西宮:咸池と白虎
奎: 赤2 溝。 婁: 赤3 群衆。
胃: 赤4 天の倉。 昴: 赤5 喪事を司る。
畢: 赤6 狩猟、辺境の兵。
参: 赤7 白虎の本体、殺伐を司る。
觜: 赤8 虎の頭、軍を司る。
参宿(オリオン座)のそばには大星「狼」(シリウス)があります。その下には「カノープス」があり、これが現れると天下泰平、見えないと戦が起こるとされました。
北宮:玄武
羽林天軍紅3... 北落若微亡,軍星動角益希...
喪事、屋根、防衛工事を司ります。フォーマルハウトは重要な軍事の指標星です。
牽牛紅B為犧牲。
婺女紅C,其北織女。
南斗六星や織女星・牽牛星もこのエリアにあります。
古人が特定の星(シリウスやカノープスなど)の昇る時間や沈む時間を観測して戦乱や平和を予測していたことは、現代の「文化天文学」から見れば迷信ではなく、正確な「古気候学の指標」です。特定の星の視認性は、当時の大気の透明度、湿度、季節風の循環と密接に関連しています。大気条件が激変すると、極端な気候(大干ばつや大洪水など)の到来を予兆することが多く、それがひいては不作や社会不安(戦争)を引き起こすのです。
書物に記されている「某星が某宿を犯せば、必ず某災が起きる」というのは、実は初期の人類による「ビッグデータのパターン認識(Pattern Recognition)」です。古代の王室天文官は、数百年にわたる星の運行軌跡と、地球上で発生した地震、疫病、政権交代の膨大なデータを照合し、最も発生確率の高い統計学モデルを統合しました。この星象による災害警告システムは、本質的に古代の国家レベルの「リスク評価および災害予測データベース」だったのです。